マンション排水設備の仕組みはどうなっているの?
3種類の「(生活)排水」と2種類の「排水経路」がある
マンションの「排水設備」は、給水設備と同様に生活の基本となる重要なインフラです。断水などの給水トラブルは、貯水や水の購入など各家庭の対応により一時的に対応できるケースもありますが、排水の事故やトラブルは全世帯に関わるマンション全体の大きな問題となります。
では、マンションの排水設備はどのような仕組みになっているのでしょうか。
生活排水の種類は「トイレの汚水」「キッチン・洗面所・浴室の雑排水」「雨水」と主に3つあり、それぞれ異なる排水経路で処理をされています。
排水は立地環境や設計により
①そのまま「下水本管」へ放出する②「水槽」に溜めた後、汲み上げて流す
の2系統で処理される
通常基本的にどの「排水」も、排水管を通って「自然落下」によりマンション敷地内から下水本管に放出されます。
しかし道路に埋設されている下水本管よりも、建物の土地自体や汚水管が低い位置に設置されている場合は、一度汚水を汚水槽に溜めて排水ポンプで汲み上げて下水管などに流す方法がとられています。マンションやビルの地下に設置されている排水用の水槽を「ビルピット」とよることがあります。
(引用資料)https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/contractor/pdf/41ccb1e759ec246374824ae10331a7e92a70595a.pdf
マンション排水ポンプの「役割」「種類」「仕組み」は?
排水ポンプは、地下に設置された「汚水槽」または「雨水貯水槽」に溜められた排水を汲み上げて下水本管に送る役割をしています。
呼び方は色々ありますが、水槽に沈めて使うため「水中ポンプ」と呼んだり、水を高いところへ汲み上げるため「揚水ポンプ」と呼ぶこともあります。
ポンプの種類も汲み上げる汚水の種類や量、また専門的には動力源や構造などの仕様によって様々な種類があり、工事業者から助言を受けて、適切な用途で利用します。
当然のことながら「雨水」など比較的異物や固形物のない排水に利用されるポンプと、汚水を前提として作られているポンプでは、材質や性能が全くことなります。汚水用では、吸い上げる口に「ストレーナー」(メッシュ状のフィルター)があり、「インペラー(羽根車)」と呼ばれる固形物を細断する一種のカッターも備えられています。
排水ポンプの「寿命」は?メンテナンスや交換はどのように進めるの?
排水ポンプの寿命は?
汚水ポンプの目安の寿命は約7年~10年ぐらいと考えてよいでしょう。地上に設置されているポンプと比べると、常に水に浸かっているため劣化は早いです。
またポンプの種類や使用頻度、メンテナンスの状況によりその耐用年数は大きく変わります。
排水が止まらないようにするために
排水ポンプはマンションの排水が止まらないようにするために、2台1組の体制で動かすことが国土交通省によっても義務付けられています。
また一般的な水中ポンプは、2台の子機と親機が交互に稼働する仕組みになっており、寿命を伸ばす効果とともに、片方が故障した際のバックアップとして機能します。
排水ポンプは、普段見えないところに設置していますので、トラブルを予防するためには故障前の「点検」と「整備」が大きなポイントとなります。